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税金・確定申告

勤務医の確定申告、何から始める?――バイトがある人の手順を順番に

勤務医 Dr.マコト|

確定申告が必要なのは分かった。問題は、何から手をつけるかだ。

常勤に加えてバイトをしていると、確定申告は避けて通れない。ただ、いざやろうとすると「源泉徴収票ってどこから集めるんだ」「e-Taxとやらは何をすればいい」と、最初の一歩で止まりがちだ。

この記事では、その手順だけを順番に並べる。

なぜバイト代に追納が出るのか、乙欄とは何か、住民税はどう効いてくるか——その「仕組み」の話は別記事にまとめてある。ここでは仕組みは省いて、「で、実際どう動くか」に絞る。

👉 仕組みから知りたい場合は医師のバイト代、確定申告でいくら取られる?を先に読むと、この記事の手順が腹落ちする。

全体の流れ(先にゴールを見ておく)

確定申告は、3つのステップに分けると一気に簡単になる。

  1. 書類を集める(源泉徴収票・控除の証明書)
  2. 申告書を作る(国税庁のサイトに入力するだけ)
  3. 提出する(e-Tax・郵送・窓口のどれか)

細かい話に入る前に、この3ステップだけ頭に置いておけばいい。やることは「集めて、入力して、提出する」。それだけだ。

ステップ1:書類を集める

最初にして最大の関門が、ここだ。書類さえ揃えば、残りは作業でしかない。

集めるのは大きく2種類。

収入の書類

  • 常勤先の源泉徴収票
  • すべてのバイト先の源泉徴収票

ここが勤務医のつまずきポイントだ。常勤先の1枚は手元にあっても、バイト先の分が抜けやすい。源泉徴収票はバイト先ごとに発行される。年明けの1月〜2月にかけて、給与明細と一緒に届くか、郵送されてくることが多い。

控除の書類(該当するものだけ)

  • 生命保険料控除の証明書
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書(または「寄附金控除に関する証明書」)
  • 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
  • iDeCoの掛金払込証明書(個人払込で、年末調整に含めていない場合)

これらは秋〜年末にかけて郵送で届く。捨てずに1か所にまとめておくと、後がラクだ。

⚠️ ふるさと納税をしている場合は要注意

ワンストップ特例を申請していても、確定申告をするとその特例は自動的に無効になる。つまり、確定申告するなら、ワンストップで申請済みの分も含めて、すべての寄附を申告書の寄附金控除に入れ直す必要がある。ここを忘れると、ワンストップも無効・申告書にも載っていない状態になり、控除がまるごと消える。バイトのために確定申告する場合は、ふるさと納税の記載漏れに特に気をつけたい。(万一、入れ忘れて提出しても、後から「更正の請求」で取り戻せる。ただし二度手間にはなる。)

ステップ2:申告書を作る

書類が揃えば、ここはもう作業だ。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に入力していくだけでいい。

画面の案内に沿って数字を入れると、税額は自動で計算される。手計算は要らない。給与所得が複数あっても、源泉徴収票を見ながら順番に入力するだけだ。

入力の流れ(ざっくり)

  1. 常勤先の源泉徴収票の内容を入力する
  2. バイト先の源泉徴収票を、1か所ずつ追加で入力する(ここが本丸。全部の給与を合算する)
  3. 控除を入力する(生命保険・ふるさと納税・医療費・iDeCoなど、集めた証明書の分)
  4. 自動で「追納」か「還付」かが出る

ポイントは、ステップ2の「全部の給与を合算する」ところだ。常勤+バイトの源泉徴収票を全部入力して初めて、本来の税額が確定する。1枚でも入れ忘れると、計算が狂う。

作るときのコツ

  • スマホでもPCでも作れる。源泉徴収票が複数あって入力が多いなら、画面の広いPCのほうがやりやすい。
  • マイナポータル連携を使うと、対応している勤務先の源泉徴収票や、ふるさと納税・保険などの控除証明書を、データで自動取り込みできる。手入力が減るぶん、転記ミスも減る。
  • かつての「申告書A/B」の区分は廃止され、様式は一本化されている。古い解説で「申告書A」と書かれていても、今は気にしなくていい。

補足:ID・パスワード方式について 以前は税務署で発行する「ID・パスワード方式」でもe-Taxが使えた。ただし、この方式の新規発行は2025年10月で停止された。これから始めるなら、マイナンバーカードを使う方式が基本になる。(すでに発行済みの場合は引き続き使える。)

ステップ3:提出する

申告書ができたら、あとは出すだけだ。提出方法は3つある。

① e-Tax(オンライン) 自宅から24時間提出できる。今は申告者の約4人に3人がこれを使っている。マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)があれば、税務署に行かずに完結する。還付金の振込も、郵送より早い傾向がある。

② 郵送 作成した申告書を印刷して、所轄の税務署に送る。

③ 税務署の窓口に持参 直接持っていく。確定申告会場は時期になると混むので、時間に余裕を持ちたい。

迷うなら、e-Taxが一番ラクだ。特に源泉徴収票が複数あって入力が多い勤務医は、自宅で落ち着いて作業できるオンラインが向いている。

いつまでに出すか(ここが肝心)

  • 申告期間は、原則として翌年の2月16日〜3月15日。
  • ただし2025年分(2026年提出)は、3月15日が日曜のため、**2026年2月16日(月)〜3月16日(月)**まで。
  • 期限を過ぎると、加算税や延滞税がつくことがある。

還付なら、急がなくていい もし計算結果が「還付」(払いすぎが戻る)なら、話は少し変わる。還付申告は、2月16日を待たずに年明け(1月1日)から提出できて、しかも5年間さかのぼって申告できる。つまり「払いすぎていたのに申告し忘れていた」と後で気づいても、5年以内なら取り戻せる。

逆に「追納」(足りないぶんを納める)の場合は、期限内(3月16日まで)に申告も納税も済ませる必要がある。

つまずきポイント(勤務医ならでは)

手順そのものはシンプルだ。ただ、勤務医には特有のハマりどころがいくつかある。先に知っておくと、慌てずに済む。

バイト先の源泉徴収票が、揃わない・漏れる これが一番多い。バイト先が複数あると、源泉徴収票が全部は手元に集まらないことがある。届くのが遅れる先もあるし、単発のスポット先だと忘れがちだ。申告作業は、全部のバイト先の源泉徴収票が揃ってから始めるのが結局いちばん早い。

ちなみに、仮にバイト先を1か所入れ忘れて申告しても、税務署側はその支払いを把握していることが多い。後日「申告内容に漏れがあるようなので、確認してください」といった連絡が来ることがある。多くの場合、強く咎められるというより、淡々と修正を案内されるイメージに近い。とはいえ、二度手間にはなるし、内容によっては加算税などがかかることもある。最初から全部揃えておくに越したことはない。

「報酬」と「もう1枚の給与」が混ざっている 非常勤の給与とは別に、産業医・健診・原稿・講演などの収入があると、ここで扱いが分かれる。見分けるコツは、手元に来る書類だ。

原稿料・講演料は「報酬」。雑所得にあたり、源泉徴収のされ方も給与とは違う。支払調書が出るので、それを見ながら入力する。

一方、産業医や健診は、意外に思うかもしれないが、原則「給与」として扱われることが多い。源泉徴収票が出るので、常勤・非常勤と同じく「もう1枚の給与」として合算する。(契約の形によっては報酬になる例外もあるが、まずは届いた書類が源泉徴収票か支払調書か、で見分けるのが早い。)

給与扱いと報酬扱いの違いは医師のバイト代、確定申告でいくら取られる?で詳しく触れている。

ふるさと納税の入れ忘れ ステップ1でも触れたが、これは本当に多い。ワンストップ特例を出していても、確定申告するなら申告書に必ず入れる。忘れると控除が消える。

結局、自分は追納なのか還付なのか ここが一番気になるところだろう。源泉で多めに引かれていれば還付寄り、足りなければ追納になる。ただ、実際にどちらにどれだけ振れるかは、常勤の年収・バイトの種類と額・控除の状況で人によって大きく変わる。

申告の前に、自分の数字を知っておく

手順は、ここまでの3ステップで済む。集めて、入力して、提出する。それだけだ。

ただ、できれば申告作業に入る前に、自分が「追納」になるのか「還付」になるのか、ざっくりでも把握しておくといい。理由はシンプルで、追納だと分かっていれば、納税分のお金を先に取り分けておけるからだ。申告して「思ったより追納が大きい」と慌てるのを防げる。

医師のお金計算室では、常勤+複数のバイトを入力すると、

  • 年間の手取り額と、額面からの内訳
  • 確定申告での追納/還付の見込み額
  • 翌年の住民税の予告

までを一発で試算できる。申告書を作る前の「現在地の確認」に使ってほしい。

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まとめ:やることは3つだけ

確定申告は、分解すればこの3ステップに尽きる。

  1. 集める — 常勤+全バイト先の源泉徴収票、控除の証明書
  2. 作る — 国税庁の作成コーナーに、全部の給与を合算して入力
  3. 提出する — e-Tax・郵送・窓口のどれかで、期限内(2026年は3月16日)に提出

つまずきやすいのは、バイト先の源泉徴収票の取りこぼしと、ふるさと納税の入れ忘れ。この2つに気をつければ、大きく外すことはない。

仕組みから知りたくなったら、なぜバイト代に追納が出るのかの記事も合わせてどうぞ。


本記事は2025年分(令和7年分・2026年提出)の確定申告制度に基づき、2026年6月時点の情報で作成しています。税制は年度ごとに改正される場合があるため、最新の情報は国税庁ホームページ等でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。

著者:勤務医 Dr.マコト

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