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税金・確定申告

勤務医の年収別手取り早見表|1,000万〜2,000万円でいくら残るか

勤務医 Dr.マコト|公開:

額面の年収は決して低くないのに、手元に残るお金が思ったより少ない。

そう感じているなら、それは気のせいではない。

日本の税と社会保険は、年収が上がるほど手取りの比率が下がる構造になっている。額面が倍になっても、手取りは倍にはならない。制度の設計としてそうなっているのであって、何かを間違えているわけではない。

私自身も医師になってから、自分の手取りを実際に計算するようになって初めて、この構造の意味を実感した。再受験前からお金まわりは自分で調べる癖がついていたが、給与明細を一次情報で確認する習慣がついて、より解像度が上がった。

この記事では、額面1,000万円から2,000万円までの年収ゾーンごとに、実際にいくら手元に残るのかを早見表で示す。そのうえで、なぜ額面と手取りが比例しないのか、そして手取りを増やすとき本当に有効な手段は何かを、順を追って整理していく。

この記事でわかること

  • 年収ゾーン別(1,000万〜2,000万)の手取り額と率
  • 額面が上がっても手取りが比例しない2つの理由
  • 勤務医の手取りを大きく増やすための現実的な手段

年収ゾーン別 手取り早見表

まず結論を数字で見てほしい。年収1,000万円では手取り率72.6%、2,000万円では65.0%まで下がる。

額面年収所得税住民税社会保険料手取り手取り率
1,000万円819,805円639,222円1,277,780円7,263,193円72.6%
1,200万円1,241,377円829,150円1,378,500円8,550,973円71.3%
1,500万円2,099,328円1,112,530円1,544,700円10,243,442円68.3%
1,800万円3,076,535円1,402,562円1,644,372円11,876,531円66.0%
2,000万円3,747,026円1,601,562円1,654,372円12,997,040円65.0%

前提条件:独身・扶養なし・各種控除なし/賞与なし(月給を12等分して計算)/勤務先=東京都・40歳未満/常勤の給与収入のみ(バイト収入は含まず)。社会保険料は厚生年金・健康保険・雇用保険・子育て支援金の合計だ。

ここに示したのは代表的な条件での目安だ。扶養の有無や各種控除によって、手取りは変わる。配偶者や子ども、iDeCo・ふるさと納税などを反映した自分の正確な数字は、手取りシミュレーターで一度に出せる。

なお、これは賞与なし・月給を12等分した前提での試算だ。賞与の比率によって社会保険料の計算が変わり、手取りも前後する。

Dr.マコト・勤務医

前提条件が自分と異なるなら、早見表はあくまで傾向をつかむための目安として使ってほしい。自分の正確な手取りは、扶養や控除をすべて入力できるシミュレーターで確かめるのが確実だ。

年収1,000万で手取り率72.6%、2,000万で65.0%。年収が2倍になっても手取りは約1.8倍にしかならない。


額面が上がっても、手取りが比例しない理由

表をもう一度見てほしい。手取り率が、徐々に下がっていく。

年収1,000万円では72.6%が手元に残るのに対し、2,000万円では65.0%まで下がる。年収が倍になっても、手取りはおよそ1.8倍にしかならない。

もっとはっきりするのが、増やした分のうち、いくら手元に残るかという見方だ。

  • 額面を1,500万円から1,800万円へ、300万円増やしたとき:手取りの増加は約163万円。増えた額面のうち手元に残るのは約54%、残りの約46%は税と社会保険に消える。
  • 額面を1,800万円から2,000万円へ、200万円増やしたとき:手取りの増加は約112万円。残るのは約56%、約44%が引かれる。

この「増やした300万円のうち46%が税と社会保険に消える」という割合こそが、限界税率の正体だ。平均で何%引かれるかではなく、これから増やす分が何%持っていかれるか。手取りを増やそうとするときに本当に効いてくるのは、こちらの数字だ。バイトを増やしても手取りが思ったほど伸びない理由も、根はまったく同じである。詳しくはバイト代と確定申告の記事で解説している。

Dr.マコト・勤務医

限界税率を一言で言うと、「次に稼ぐ1円から、何%持っていかれるか」の割合だ。「平均で何%取られるか(平均税率)」とは別の話で、増やす意欲や戦略に直結するのはこちらの数字になる。

手取りが比例しない、2つの理由

手取り率が下がる理由は、大きく2つある。

第一に、所得税が累進課税だから。所得が上がるほど、その上乗せ分にかかる税率が段階的に高くなる。

第二に、給与所得控除に上限があること。給与から自動的に差し引かれる控除は、ある年収を超えると195万円で頭打ちになり、それ以上は増えない。

この2つが重なって、年収が上がるほど手取り率が下がっていく。

ただし、逆に働く要素もある。社会保険料には上限があることだ。表の厚生年金を見ると、どの年収ゾーンでも713,700円で同じになっている。厚生年金保険料がすでに上限に達しているためで、年収が上がっても増えない。健康保険料も、最も高い年収ゾーンでは頭打ちになる(表でも1,800万円と2,000万円で同額だ)。社会保険料の伸びがこうして止まるため、最上位の年収ゾーンではむしろ手取り率の下がり方がゆるやかになる。「高年収ほど一方的に損」という単純な話ではない。

手取りが比例しない理由は、2つ

  • 所得税は累進課税:上乗せ分ほど高い税率がかかる
  • 給与所得控除は195万円で頭打ち:高年収ゾーンでは増えない

※ 一方で社会保険料には上限がある(厚生年金は713,700円で頭打ち)。最上位の年収ゾーンでは手取り率の低下がむしろゆるやかになり、高年収ほど一方的に損とは言えない。

増やす分にかかる負担率=限界税率。平均税率より、こちらが働き方の判断に直結する。


手取りを増やす方法は、実は限られている

手取りを増やすにはどうすればいいか。勤務医の場合、選択肢は世間で言われているより、ずっと少ないのが実情だ。現実解は、常勤の年収そのものを上げることに絞られてくる。

節税はほとんど効かない。 給与所得の勤務医は、自営業のように経費を自由に差し引くことはできない。額面の大きさに対して影響は限られてくる。「節税で手取りを増やす」という発想は、勤務医にはあまり当てはまらない。各節税方法の実際の効果額は節税6選の記事にまとめているので、合わせて確認してほしい。

バイトの追加は、効率の面で限界がある。 ここは丁寧に分けて考える必要がある。バイト1回分の報酬も、転職で常勤年収が同じ額上がった場合も、その増えた分にかかる限界税率は変わらない。税の面だけ見れば両者に差はない。

差が出るのは、時間とその持続性のほうだ。バイトは時間を切り売りして報酬を積み上げる働き方なので、増やそうとすれば当直や休日が削られ、体力にも回数にも上限がある。増やすほど生活の余白が失われていく。一方、常勤の年収を上げることは、同じ労働時間のまま土台そのものを引き上げる動きだ。働く時間を増やさずに年収が上がるため、時間あたりの実入りが改善する。バイトにまつわる確定申告の手間がかからないのも利点だ(バイト代の確定申告の流れはこちらの記事にまとめている)。

同じ「年収を上げる」でも、自分の時間と健康を削って積み増すのか、土台を上げて時間あたりの効率ごと引き上げるのか。長く続けられるのは、明らかに後者だ。

Dr.マコト・勤務医

私は「節税とバイト増加で手取りを最大化する」という発想を、あまり当てにしていない。節税は上限があるし、バイトは体力と時間に限界がある。消去法で考えると、常勤の年収を動かすことが一番素直な打ち手になる。

勤務医が手取りを増やす手段

  • 節税:給与所得では効果は誤差の範囲(ふるさと納税・iDeCoも額面に対し小さい)
  • バイトの追加:税率は転職と同じだが、時間・体力・持続性に限界
  • 最適解:常勤の年収そのものを上げる(同じ労働時間で土台を引き上げる)

最適解は、常勤の年収そのものを上げることだ。


年収を上げる=まず、今の自分の相場を知ること

「だから今すぐ転職すべきだ」と言いたいわけではない。

伝えたいのは、今の自分の年収が、相場に対して妥当なのかどうかを知っておくということだ。是正の余地があるかどうかは、相場を知らなければ判断のしようがない。立場によって、考え方は変わる。

立場によって、始めどきは違う

  • 専攻医:今はまず専門医の取得が最優先で、プログラムを全うすることに大きな意味がある。年収だけを理由に動く時期ではない。ただ、自分の年収ゾーンと相場の感覚を今から持っておくと、専門医を取ったあとの選択や交渉で必ず効いてくる。相場観だけ、先に持っておく価値がある。
  • 中堅・ベテラン:是正の余地が最も素直に効くのがこの層だ。経験や専門性に対して、今の年収が見合っているか。もし相場とずれているなら、それを知ること自体が次の一手につながる。
  • 初期研修医:今は手取りの最適化を考える時期ではなく、目の前の研鑽が最優先だ。ただ「自分には関係ない」とまでは言えない。3年目にどの診療科・どの医局・どの病院へ進むかという選択が、その後の年収の土台を大きく左右するからだ。今すぐ動く話ではないが、早見表で年収ゾーンの相場観を持っておくことは、進路を決めるときの判断材料になる。

お金以外のコストもある

仮に年収を上げる手段が転職だとしても、医局に属しているなら、お金だけの問題では済まない。医局はキャリア形成や地域医療の維持に果たす役割もあり、引き止めや人間関係、辞め方や辞めるタイミング次第では、次の勤務先の選択肢そのものが狭まることもある。地域や診療科によっては、医局の意向が転職先にまで影響することは、現場の感覚として確かにある。金銭以外のコストは、間違いなく存在する。

だからこそ、「とにかく動け」とは言わない。まず自分の相場を知り、面倒も織り込んだうえで、納得して決める。その判断材料を持つことが、何よりも先決だ。

Dr.マコト・勤務医

「まず相場を知るだけでいい、今すぐ動く話ではない」というのが私の見方だ。相場を知って初めて、今の自分の処遇が妥当かどうかの判断軸が生まれる。知らないまま動くのも、知らないまま動かないのも、どちらもリスクがある。

立場別・相場を知る意味

  • 専攻医:今は専門医取得が最優先。相場観だけ先に持っておく
  • 中堅・ベテラン:是正の余地が最も効く層。相場とのズレを知ることが次の一手に
  • 初期研修医:3年目の進路選択が年収の土台。相場観は判断材料になる

自分の年収が相場とずれていないか確認したい方へ

相場を知ったうえで動くかどうかを決める順番は、医師の転職、最初の一歩に整理している。転職エージェントを使うか使わないかで迷うなら、医師に転職エージェントは必要かが判断材料になる。


まとめ

勤務医の手取りについて、押さえておきたいのは次の順番だ。

  1. 数字を知る:額面と手取りは比例しない。高年収ゾーンほど、増やした分の半分近くが税と社会保険に消える。
  2. 相場を知る:手取りを大きく動かす現実的な手段は、常勤の年収を上げることに絞られる。そのためには、今の自分の年収が相場に対して妥当かを知る必要がある。
  3. 納得して動く:金銭以外のコストも織り込んだうえで、自分のタイミングで判断する。

まずは、自分の正確な手取りを把握するところから始めてほしい。年収と控除の条件を入れるだけで自分の手取り額が出る手取りシミュレーターを、一度使ってみてほしい。

節税は上限があり、バイト追加も持続性に限界がある。根本を動かすのは、働き方そのものを見直すことだ。手段ごとの効果と限界は手取りを増やす4つの鍵に整理している。

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