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キャリア・転職

医師に転職エージェントは必要か|使うべき人・使わなくてよい人を判断するポイント5選

勤務医 Dr.マコト|公開:

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転職を考えたときに、どのような方法で転職先を探そうか迷うことになる。そこで、転職エージェントに登録すべきかどうかを考えることになるだろう。しかし、転職エージェントを本当に使ってもよいのだろうか?変な噂になったりする弊害はないだろうか?不安に感じることがあるだろう。

先に結論を書く。転職エージェントは、すべての医師が登録すべきものではない。利用価値が高い人がいる一方で、使わなくても困らない人、今は急いで使う必要のない人もいる。大事なのは使うか使わないかを、評判ではなく自分の状況から判断することだ。

この記事では、転職エージェントが実際に何をしてくれるサービスなのかを整理したうえで、使うべき人と使わなくてよい人とを判断するポイントを勤務医の視点で示す。

この記事でわかること

  • 転職エージェントが実際にしてくれること(求人紹介・条件交渉・相場情報)と、その限界
  • エージェントを使うべき人・使わなくてよい人の具体的な判断ポイント5選
  • 使うと決めた場合に、損をしないための付き合い方

そもそも、転職エージェントは何をしてくれるのか

まずは転職エージェントのサービスの中身をお伝えする。

医師向けの転職エージェントがしてくれることは、大きく3つだ。

  • 求人の紹介:希望条件に合う勤務先を探して提示する。一般の求人サイトには出ない非公開求人を持っていることもある。ただし、非公開であること自体が必ずしも好条件を意味するわけではない
  • 条件交渉の代行:年収や勤務日数、当直回数といった待遇面を、本人に代わって勤務先と交渉する
  • 相場情報の提供:診療科・地域・経験年数ごとの年収の目安を、保有する求人や過去の事例をもとに提示する。ただし、一社が示す提示額を市場全体の相場とみなすのは早計だ

この3つのうち、勤務医にとって見落とされがちなのが3つ目である。自分の年収が相場に対して高いのか低いのか、一人で調べるのは難しい。その手がかりを持っている相手に聞けることそのものに価値がある。

次に、転職エージェントのデメリットもお伝えする。エージェントは求人を紹介して成約すると勤務先から報酬を受け取る仕組みで動いている。有料職業紹介では、求職者から手数料を徴収しないことが職業安定法で原則とされている。この構造上、成果報酬が高かったり成約率が高そうだったりする求人に紹介が偏る可能性もあり、本人の利害と常に完全に一致するとは限らない。だからこそ、提案された求人については、エージェントの勧めるままに鵜呑みにするのではなく、勧める理由などを自分が納得するまで確認するのが安全だ。エージェントは判断を代わりにしてくれる相手ではなく、判断材料を増やしてくれる相手として捉えることが重要だ。

Dr.マコトの見方

成約で報酬が発生する仕組みは、それ自体が問題なのではない。仲介業はどの業界でもそうだ。問題になるのは、その仕組みを知らずに提案をそのまま結論として受け取ってしまうときだと私は考えている。構造を知っていれば、同じ提案でも捉え方が変わる。


エージェントを使わずに転職する道もある

「転職=エージェント」と思い込みがちだが、使わずに動く方法も存在する。この方法も知った上で、自分がエージェントを使うべきか否か判断することが望ましい。

エージェントを介さない主な経路は次のとおりだ。それぞれ、向いている条件についても言及する。

  • 医局の人事:医局に属している場合、関連病院への異動という形で勤務先が決まることも多い。医局の関連病院だけで検討し、希望を申し出ることになるだろう。ただし、人気病院に希望が集中したり年次で行ける病院が限られたりするので、選択肢は限定されることが多い
  • 直接応募:行きたい病院が決まっている場合、採用窓口へ直接応募する方法である。条件確認や交渉も自分で進められるなら、直接応募のほうが早い場合がある
  • 知人・先輩からの紹介:現場のつながりで声がかかる、いわゆるコネの経路だ。紹介者との関係に左右されず、条件確認や辞退を自分の判断でできる場合に限って、有力な選択肢になる
  • 求人サイトで自力探索:エージェントを介さず、公開求人を自分で見て応募する
  • 医師会・自治体などの無料職業紹介:医師会や自治体などの無料の職業紹介(日本医師会ドクターバンク等)を利用する道もある

エージェントは複数ある経路の一つであって、必ず通らなければならない関門ではない。この前提の上で、どういう人がエージェントを使うと得をするのかを見ていく。


転職エージェントを使うべき人5選

次のどれかに当てはまるなら、エージェントの利用価値は高いと言える。

  1. 公開求人や周囲の事例だけでは、自分と条件が近い求人の相場を判断できない人:専門性が高いとそれだけで求人が限られ、自力では十分に条件比較できないことがある。自分と条件の近い事例の相場を知る手段として、エージェントの情報網を活用できる
  2. 年収や勤務条件の交渉を自分でやりたくない人:待遇の交渉を本人が直接やるのは気疲れする。代行してもらえる利点は小さくない
  3. 非公開求人も含めて選択肢を広げたい人:表に出ない求人まで含めて、自分で調べるだけでは得られない求人情報を得られることがある
  4. 探す時間がない多忙な人:激務な勤務の合間に求人を精査するのは負担が大きい。条件に合うものを絞って持ってきてもらえるのは、時間の節約になる
  5. 役職・専門性・当直負担など条件が複雑で、公開求人だけでは比較しにくい人:変数が多いほど、公開情報だけでの横断的な比較は難しくなる

これら5つのポイントに共通するのは、「情報収集や交渉ごとを、自分一人で抱えるより外の力を借りたほうが早い」という状況だ。常勤収入や勤務条件を見直す方法の一つが転職であるという話は別記事(転職の第一歩)で書いた。その一歩を踏み出す道具として、エージェントは有効な選択肢になる。


使わなくてよい人・急がなくていい人

一方で、次に当てはまる人は、今すぐエージェントに登録する必要はない。

  • 行き先がすでに決まっている人:応募先が明確で、条件確認や交渉も自分で進められるなら、直接応募のほうが早い場合がある。交渉を任せたい場合には、使う余地が残る
  • 医局の人事で勤務先が動く人:医局人事であればわざわざ転職エージェントを介する必要はないし、ともすれば話がややこしくなるので使うべきではない
  • 強固なコネや紹介ルートを持っている人:紹介者との関係に左右されず、条件確認や辞退の是非を自分の判断でできるなら、転職エージェントを介する意義は乏しい
  • 初期研修医・専攻医の人:初期研修プログラム・専攻医プログラムを終えるまでは実際に転職することはないだろう。ただし、プログラム終了後の転職を見据えた際の情報収集の手段として利用価値がある

これまでの内容を踏まえると、「使わなくてよい」は「情報を得なくてよい」とは違うことに気付いたのではないだろうか。エージェントに登録しなくても、自分の年収が相場のどのあたりにあるかを知っておくことには意味がある。

使うべきか否かの判断の核心は一つ。情報収集と交渉ごとを、自分一人で抱えるより外の力を借りたほうが早いか。これがイエスなら使う価値がある。そのうえで、魅力的な医局の関連病院の数や先輩医師とのコネなど自身の置かれた環境が、エージェントを使うかという判断に影響してくる。

給与や勤務条件を比べるときは、勤務日数・当直回数・拘束時間といった条件をそろえて見比べる必要がある。額面の年収だけを並べても、当直回数や拘束時間が違えば実際の割の良さは変わるからだ。特に当直を含む働き方は、拘束時間まで含めて実質時給に直すと、印象と違う数字が出ることがある。今の働き方を数字で確かめてから条件を見直す判断に進めば、感覚に流されずに済む。


使うと決めたら、気をつけたいこと

エージェントを使うと決めた場合に、損をしないための付き合い方を挙げる。

一つ目は、一つの情報源だけで決めないことだ。登録先をむやみに増やす必要はない。まず一社に登録して情報を得て、不足を感じたら他の情報源とも照らし合わせる。数を増やすことより、複数の視点で確かめることが目的である。

二つ目は、提案を鵜呑みにしないことだ。勧められた求人が自分の希望に本当に合っているかは、勧める理由や他候補との違いを聞いたうえで、自分の基準で判断することが必須だ。

三つ目は、エージェントへ登録しても転職を必ずしもしなくてもよいということを理解しておくことだ。登録して相場を聞いたうえで「今の職場に残る」と決めるのもまったく問題ない。登録して転職しない人がいることも、この仕組みの想定内だ。

あわせて、実務上の注意を2つ。

  • 応募前に、氏名や経歴が求人先へ伝わるタイミングを確認しておく:情報が想定より早く先方へ渡ると、今の勤務先との関係に影響しかねない
  • 直接応募とエージェント経由の重複応募を避ける:同じ求人に両経路から応募が入ると混乱のもとになる。どの求人をどの経路で進めるかを、先に決めておく

サービスを選ぶときは、次の点を確認すると判断しやすくなる。

  • 求人情報が具体的か(勤務条件・当直・給与のレンジまで示されるか)
  • 担当者の説明が丁寧か、質問をはぐらかさず誠実に答えるか
  • 個人情報の扱いが明確か
  • 強引な応募の勧奨がないか

医療分野の有料職業紹介には、厚生労働省による適正事業者の認定制度がある。この認定の有無も転職エージェントの質を見極める材料の一つになる。

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使うと決めた場合の入口の一例

医師専門のサービスの一つ。会員登録は無料で、相場を聞くだけでもよい。使わないと決めたなら、登録しなくてよい。 医師転職ドットコム


まとめ:使うか使わないかは、評判ではなく自分の状況で決める

要点を整理する。

  • 転職エージェントがしてくれるのは、求人紹介・条件交渉・相場情報の3つ。ただし成約報酬で動くため、判断は自分でする
  • エージェントを介さない経路(医局人事・直接応募・紹介・自力探索・無料職業紹介)も対等に存在する
  • 使うべき人5選=条件の近い相場を自力で判断できない・交渉を任せたい・非公開求人まで見たい・探す時間がない・条件が複雑で公開求人だけでは比較しにくい
  • 使わなくてよい人=行き先が決まっている・医局人事で動く・強固なコネがある・研修医や専攻医

判断するにあたっての核心は、情報と交渉を自分一人で抱えるより外の力を借りたほうが早いかどうかだ。これに加えて、魅力的な医局の関連病院の数や先輩医師とのコネなど自身の置かれた環境が、エージェントを使うかどうかという判断に影響してくる。

そして、エージェントを使う・使わないのどちらを選ぶにせよ、出発点は自分の今の正確な数字を知ることである。年収の相場も、手取りも、当直の実質時給も、まず正確に把握してから動けばいい。手取りシミュレーターで、自分の条件での正確な手取りを確かめるところから始めてみてほしい。相場を知るための前提として、年収帯別の手取り早見や、手取りを増やす手段全体を整理したまとめ記事も合わせて参照してほしい。

手取りを増やす方法は限定的で、問題の根本は働き方にある。エージェントはその働き方を変える道具の一つであって、目的ではない。道具を使うかどうかは、目的から逆算して決めれば十分だ。

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